うどんに懸ける想い
「讃岐うどん」と聞いて最初に思い浮かぶのは、やはり「強いコシ」ではないでしょうか?
新聞やTVで讃岐うどんが取り上げられてからというものの、
このイメージが一気に広まったように思います。
そして、いつしか讃岐うどんの「強いコシ」とは、
「麺の固さ」や「歯ごたえ」のことだと認識されていったようです。
ですが、本来、うどんの「コシの強さ」と「麺のかたさ」は別物です。
あまり知られていませんが、
昔ながらの讃岐うどんの麺は、なめらかで伸びがあり、しなやかさと粘りを兼ね備えたもの。
ツルツルとすすれば、勝手に喉の奥に入っていくような喉越しの良い麺こそが、
讃岐うどん本来の特徴です。
そして、僕が理想とするうどんは、この”昔懐かしい讃岐うどん”なのです。
僕と理想のうどんとの出会いは、今から十数年前にさかのぼります。
るみばぁちゃんで有名な香川県の池上製麺所に初めて行った時のこと。
これまでにないうどんの美味しさに衝撃を受けました。
細くなめらかで、柔らかさの中にモチッとしたコシのある麺。
るみばぁちゃんは、これが昔から受け継がれてきた讃岐うどん本来の味だということを教えてくれました。
「探し求めていたうどんはこれだ!」
そう確信した僕は、その場で弟子入りを志願。
それから、丸池製麺所で伝統的な讃岐うどんの製法を徹底的に学び、来る日も来る日も麺を打ち続けてきました。
ありがたいことに、独立の際には修行先の「池」の字をいただくこともできました。
とはいえ、理想のうどんを追求する気持ちは、今でもまったく変わりません。
むしろ、ますます強くなっています。
これからも当店は、昔懐かしい讃岐うどんの味を守りつつ、日々切磋琢磨していきます。
そして、一人でも多くの方に”本来の讃岐うどんの美味しさ”を味わってほしいと思っています。